就労移行支援とは?利用方法や対象者、サービス内容を詳しく解説

就労移行支援とは?

就労移行支援は、一般就労を希望する障害のある方に対して、就労に必要なスキルの習得や就職活動のサポート、さらには就職後の職場定着支援まで、包括的なサービスを提供する福祉サービスです。
この支援を通じて、障害のある方の社会参加と自立を促進することを目指しています。
【就労移行支援を受けるメリット】
就労移行支援を利用することで、以下のようなメリットがあります。
- 専門家による個別支援
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経験豊富な支援員が、ココの特性や希望に合わせた支援プランを作成し、きめ細やかなサポートを提供する。
- 就労スキルの向上
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ビジネスマナーやコミュニケーション能力、パソコンスキルなど、就労に必要な実践的なスキルを身に付けることができる。
- 職場体験の機会
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実際の職場での実習を通じて、仕事内容や職場環境を体験し、自分に合った仕事を見つけやすくなります。
- 就職活動のサポート
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履歴書の作成や面接対策など、就職活動に必要な具体的なサポートを受けることができます。
- 職場定着支援
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就職後も継続的なフォローアップを受けられるため、長期的な就労継続が期待できます。
その他にも、生活リズムを整えられる点や働けることのアピールなども就労移行支援を受けるメリットとなります。
【ハローワークと就労移行支援の違いは?】
ハローワークと就労移行支援は、どちらも就労支援を行う機関ですが、その特徴や提供するサービスには違いがあります。

その他にも、ハローワークが求職者全般が支援の対象となるのに対し、就労移行支援に関しては障害のある方に特化している等の違いがあります。
【就労継続支援と就労移行支援の違いとは?】
就労継続支援と就労移行支援は、どちらも障害のある方の就労を支援するサービスですが、その目的や内容に違いがあります。
就労移行支援は、一般就労を希望する方に、知識や能力の向上のために必要な訓練を提供します。
一方で、就労継続支援は、一般就労することに難しさを感じている方に、就労の機会や生産活動の機会等を提供するものとなります。
就労移行支援とはどんなサービスなの?

就労移行支援は、障害のある方が一般就労を実現するために必要なスキルの習得や、就職活動のサポート、さらには就職後の職場定着支援まで、包括的なサービスを提供します。
具体的には、以下のような支援内容が含まれます。
① 就労に向けたトレーニング
定期的に就労移行支援事業所に通うことも一つのトレーニングとなり、生活リズムが整ったり、基礎体力の向上にも繋がっていきます。
また就労移行支援では、一般就労に必要なスキルを身につけるために、訓練メニューを受講して職業準備性を高めていきます。
訓練メニューの内容は、次にあげるようなものがあります。
- 挨拶や電話対応などのビジネスマナー
- 職場での適切なコミュニケーション方法
- 文章作成や表計算、メールの送受信などのパソコンスキル
- 就労に必要な生活リズムの確立、時間厳守の習慣づけ等の時間管理
- 職場でのストレスとの向き合い方
- 集中力や持続力、正確性等の作業能力の向上
これらのトレーニングは、個々の特性や能力に応じて柔軟にカスタマイズされ、段階的に進められます。
② 職場見学・実習等
実際の職場環境を体験することは、就労への準備として非常に重要です。
就労移行支援では、次のような経験をすることが可能となります。
- 職場見学
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様々な職種の職場を見学し、仕事の内容や環境を知る
- 職場実習
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実際の職場で一定期間働き、仕事の経験を積む
- 短期就労体験
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数日から数週間程度の短期間就労を体験する
これらの経験を通じて、自分に合った職種や働き方を見つけやすくなり、就労に対する具体的なイメージを持つことができます。
③ 就職活動のサポート
就職活動に関する具体的なサポートも、就労移行支援の重要な役割です。
- 履歴書や職務経歴書の作成支援
- 模擬面接などの面接対策
- 求人情報の提供と応募書類の作成支援
- ハローワークへの同行支援
- 企業と障害者のマッチング支援
これらのサポートにより、就職活動をより効果的に進めることができます。
④ 職場の定着支援
就職後も継続的な支援を受けられることが、就労移行支援の大きな特徴です。
就職後の支援に関しては、次にあげるようなものがあります。
- 定期的に職場訪問をおこない勤務状況の確認
- 雇用主との連携による職場環境の調整
- 職場での人間関係や業務上の課題解決支援
- 生活面での相談対応
これらの支援により、長期的な就労継続を実現しやすくなります。
どんな人が就労移行支援を利用するの?

就労移行支援は、一般就労を希望する障害のある方を対象としたサービスです。
具体的には、以下のような方が利用対象となります。
- 身体障碍者手帳や療育手帳等の障害者手帳を持っている方
- 障害者総合支援法のサービスを利用できると認められた方
- 65歳未満の方
- 一般就労をしたいと考えている方
対象となる障害の種類は多岐にわたり、以下のような方々が利用しています。

就労移行支援で本当に就職できるの?

就労移行支援を利用することで、多くの方が実際に就職や復職を果たしています。
厚生労働省は、就労移行支援からの一般就労への移行は増加しており、2020年には約12,000人の障害者が一般企業へ就職していると発表しております。
- 利用者本人の意欲と努力
- 事業所のプログラムの質と支援体制
- 地域の雇用環境や企業との連携状況
- 個々の障害特性と希望職種のマッチング
就労移行支援を通じて、個々の特性や強みを活かした就職が実現しています。
ただし、就職の成功は支援事業所の努力だけでなく、利用者自身の意欲や努力も大きな要因となります。
就労移行支援が利用できる期間は?

就労移行支援の標準的な利用期間は最長2年間です。
ただし、市町村が認めた場合には、最長3年間まで延長することが可能です。
【就労移行支援事業所の再利用】
就労移行支援の利用期間の2年以内は就労移行支援事業所を利用することができます。
しかしながら、お住いの市区町村によっては、就労移行支援サービスの再利用ができない場合もあります。
就労移行支援の利用に料金はかかるの?

就労移行支援では、ご本人または配偶者の前年度所得に応じて、利用料(1割負担)がかかる場合がありますが、現在9割程度の方が負担なく利用しています。

利用料金や各種制度の詳細については、お住まいの地域の福祉課や就労移行支援事業所に相談することをおすすめします。
就労移行支援はどんな人がサポートしてくれるの?

就労移行支援では、さまざまな専門スタッフが連携してサポートを提供します。

就労移行支援を利用するにはどうすればいいの?

ここでは就労移行支援を利用するための流れをご説明します。
就労移行支援事業所は全国で3,000件を超えており、支援の内容も様々となります。
この中から、自宅から不便なく通えて、自分に合った訓練を受けられる事業所を選択しなければいけません。
利用したい事業所が見つかったら、見学や体験利用に進みましょう。
実際の訓練の内容や事業所の雰囲気は、肌で感じるのが一番です。
事業所によっては、説明会やセミナーを実施しているところもありますので、そちらも活用してみてはいかがでしょうか。
就労移行支援事業所の選び方
就労移行支援事業所を選ぶ際には以下のポイントを確認しましょう。
- 訓練プログラムが充実しているか
- 自分に合った訓練計画を考えてもらえるか
- 昼食や交通費などの補助はあるか など
就労移行支援に関するよくあるご質問

可能です。ただし、就労移行支援の目的は一般就労への移行なので、アルバイトが訓練の妨げにならないよう、事業所と相談しながら調整することが大切です。
利用期間終了後も就職できなかった場合、状況に応じて以下のような選択肢があります。
- 期間延長(最長3年まで)
- 他の障害福祉サービス(就労継続支援など)への移行
- 再度のアセスメントと支援計画の見直し
手帳がなくても、医師の診断書などで障害者総合支援法のサービスを利用できると認められれば、就労移行支援を利用できる可能性があります。詳しくは地域の障害福祉課や相談支援事業所にご相談ください。
はい、体調管理は重要ですので、必要に応じて休むことができます。ただし、長期間の欠席は支援の効果に影響する可能性があるため、事業所と相談しながら適切に対応することが大切です。
一般的に、就職後6ヶ月程度は定期的なフォローアップが行われます。ただし、必要に応じてさらに長期的な支援を受けられる場合もあります。
まとめ
就労移行支援は、障害のある方の一般就労を実現するための重要なサービスです。
- 就労移行支援は一人一人の特性や目標に合わせた支援を提供
- 就労に必要なスキルの習得から就職活動、職場定着まで幅広くカバー
- 就労移行支援は原則2年間(最長3年間)の集中的な支援
- 職場見学や実習を通じて実際の就労イメージを形成
就労移行支援の利用を検討している方は次のポイントについてしっかりと考えましょう。
- 就労への不安や疑問がある段階で、早めの情報収集と相談をしましょう!
- 事業所ごとにプログラム内容などは異なるので、複数事業所の見学などを行ない比較検討をしましょう!
- どのように仕事に就きたいかなどの自身の目標の明確化をしましょう!
- 就労移行支援は利用者自身の意欲や努力が成果に影響します。
- 定期的に自身の進捗を振り返り、必要に応じて目標などの調整をしましょう!
就労移行支援は、障害のある方の社会参加と自立を促進する重要なステップとなります。
一人で悩まず、専門家のサポートを受けながら、自分に合った就労の形を見つけていくことが大切です。
まずは情報収集から始め、必要に応じて相談や見学を行ってみましょう。
就労への一歩を踏み出す勇気が、新たな可能性を開くきっかけとなるかもしれません。