就労移行支援は本当にひどいのか?「闇だ!」と言われる理由を徹底解説|失敗しない選び方やポイントをご紹介


就労移行支援は本当に闇なのか
今回は徹底解説をします!
本記事では、就労移行支援が「ひどい」と言われる理由を詳しく解説するとともに、この制度の正しい理解と有効活用のためのポイントをご紹介します。
就労移行支援を利用する際の注意点や、失敗しない選び方についても詳しく説明していきますので、ぜひ最後までお読みください。
就労移行支援の基本情報


就労移行支援がなぜ「闇」と言われるのかの前に、まずは就労移行支援の基本を確認しましょう。
就労移行支援制度の目的と対象者
就労移行支援は、障害者の一般就労への移行を促進することを主な目的としています。
対象となるのは、一般企業などでの就労を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探しなどの支援が必要と認められる障害者の方々です。
具体的には、身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者などが含まれます。
この制度は、障害者の社会参加と経済的自立を支援するという重要な役割を担っています。
就労を通じて社会とつながり、自己実現を図ることは、障害者の方々のQOL(生活の質)向上にも大きく寄与します。
就労移行支援の利用の流れ
就労移行支援の利用の流れは、ざっくりと以下の通りとなります。
利用期間は原則として2年間ですが、市町村が認めた場合は最大1年間の延長が可能です。
この期間中に、就労に必要なスキルの習得や職場実習、就職活動などの支援を受けることができます。
就労移行支援のサービス内容
就労移行支援では、次のようなサービスが提供されます。
- パソコンスキルの習得やビジネスマナーの学習などの職業能力の向上
- 職場実習で実際の職場での就労体験
- 履歴書の作成や面接練習、企業とのマッチングなどの就労活動支援
- 通勤訓練や生活リズムの調整などの生活面のサポート
- 就職後のフォローアップなどの定着支援
これらのサービスを通じて、利用者一人ひとりの特性や希望に合わせた支援が行われることが理想とされています。
しかし、実際の運用では様々な問題点が指摘されており、それが「闇だ!」と言われる要因となっているのです。
就労移行支援が「ひどい」「闇だ」と言われる理由


就労移行支援の基礎を理解して頂いた上で、就労移行支援が「ひどい」「闇だ」と言われる理由に関してみていきましょう。
- 特性に合わない画一的なプログラムでの支援
- 期間内で厳しい回数の企業実習や面接の設定
- 希望しない職種での就職先斡旋
- 専門知識を持たないスタッフの配置
- 利用料や交通費等金銭的負担
ここであげた内容について詳細を解説します。
理由①不適切な支援内容
就労移行支援が批判される最大の理由の一つが、不適切な支援内容です。
本来、利用者の特性や希望に合わせた個別的な支援が行われるべきですが、実際には画一的なプログラムが提供されているケースが少なくありません。
例えば、全ての利用者に対して同じパソコン講座を受講させたり、興味や適性に関係なく特定の作業を繰り返させたりするなど、個別性に欠ける支援が行われることがあります。
これでは、利用者の能力向上や就労に向けた準備として十分な効果が得られません。
また、就労に直接関係のない作業や、単純作業ばかりを行わせるケースも報告されています。
これらは、利用者の就労意欲を低下させ、むしろ就労への障壁となってしまう可能性があります。
理由②過度なノルマ設定
一部の就労移行支援事業所では、過度なノルマ設定が問題となっています。
例えば、一定期間内に決められた数の企業実習や面接を行うことを義務付けたり、就職率の数値目標を掲げたりするケースがあります。
このようなノルマ設定は、利用者の状況や希望を無視して就職を急がせる結果につながりかねません。
また、事業所側も補助金や報酬を得るために、無理な就職斡旋を行う可能性があります。
過度なプレッシャーは、利用者のメンタルヘルスに悪影響を及ぼし、かえって就労への道のりを遠ざけてしまう恐れがあります。
理由③利用者の希望と合わない就職先
就労移行支援の目的は、利用者が希望する職種や条件で就職することではなく、とにかく就職させることだけを重視している事業所も存在します。
その結果、利用者の希望や適性と合わない就職先への斡旋が行われることがあります。
例えば、事務職を希望している利用者に対して、肉体労働の仕事を勧めたり、フルタイムでの就労が難しい利用者にフルタイムの仕事を紹介したりするケースがあります。
このような不適切なマッチングは、就職後の早期離職や、利用者の自尊心の低下につながる可能性があります。
理由④スタッフの質の問題
就労移行支援の質を左右する重要な要素の一つが、支援スタッフの質です。
しかし、一部の事業所では、十分な知識や経験を持たないスタッフが配置されているケースがあります。
障害特性への理解不足、就労支援に関する専門知識の欠如、コミュニケーション能力の不足など、スタッフの質に関する問題は多岐にわたります。
これらの問題は、適切な支援の提供を困難にし、利用者の就労への道のりを阻害する要因となっています。
理由⑤金銭的な負担
就労移行支援の利用には、原則として利用者の1割負担が必要です。
低所得者に対する減免制度はありますが、それでも継続的な利用には一定の金銭的負担が生じます。
さらに、交通費や昼食代、実習時の服装代など、付随する費用も利用者の負担となります。
これらの金銭的負担が、特に経済的に余裕のない利用者にとっては大きな障壁となっているケースもあります。
以上のような理由から、就労移行支援は「闇だ!」と批判されることがあるのです。
しかし、全ての就労移行支援がこのような問題を抱えているわけではありません。
次のセクションでは、就労移行支援のポジティブな側面にも目を向けてみましょう。
就労移行支援のポジティブな側面


ここまでは、就労移行支援のネガティブな側面を見てきました。
しかしながら、就労移行支援は消してネガティブな要素だけではありません。
ここでは、就労移行支援のポジティブな要素を見ていきましょう。
就労移行支援利用の成功事例
就労移行支援には確かに課題がありますが、多くの成功事例も存在します。
適切な支援を受けることで、一般就労を実現し、社会参加を果たした方々も少なくありません。
例えば、長年引きこもりだった発達障害の方が、就労移行支援を利用して IT 企業に就職したケースや、うつ病で離職していた方が、段階的な支援を受けて事務職として再就職を果たしたケースなどがあります。
これらの成功事例に共通しているのは、利用者の特性や希望に合わせた丁寧な支援が行われていることです。
職業能力の向上だけでなく、自己理解や自信の回復、社会性の向上など、総合的なサポートが提供されています。
就労移行支援の利用者の声
実際に就労移行支援を利用した方々からは、以下のような肯定的な声も聞かれます。
- 「自分の障害特性を理解し、それに合わせた仕事の探し方を学べた」
- 「同じ悩みを持つ仲間と出会え、心の支えになった」
- 「段階的な支援のおかげで、少しずつ自信を取り戻すことができた」
- 「就職後も継続的なサポートがあり、安心して働ける」
これらの声からは、適切な就労移行支援が利用者の人生に大きなポジティブな影響を与える可能性があることがわかります。
就労移行支援制度改善の取り組み
就労移行支援の問題点が指摘される一方で、制度の改善に向けた取り組みも進められています。
厚生労働省や各自治体では、サービスの質の向上や、不適切な事業所への指導強化などの対策を講じています。
先進的な事業所では、以下のような取り組みを行っています。
- 利用者一人一人に合わせた個別支援計画の策定と実施
- 専門性の高いスタッフの採用と継続的な研修の実施
- 企業との密接な連携による効果的な職場実習と就職支援
- ICTを活用した支援の効率化と質の向上
これらの取り組みにより、就労移行支援の質は徐々に向上しつつあります。
しかし、依然として事業所間の格差は大きく、利用者自身が適切な事業所を選択することが重要です。
次のセクションでは、失敗しない就労移行支援の選び方について詳しく解説します。
失敗しない就労移行支援の選び方


ここまでの就労移行支援の情報で、結局どのような事業所が良い事業所なのかはご理解頂けたかと思います。
いい事業所に入る為にはどのようにすればいいのかという点について見ていきましょう。
ポイント①事前の情報収集
就労移行支援事業所を選ぶ際、まず重要なのは徹底した事前情報収集です。
インターネットや口コミサイトでの評判チェックはもちろん、地域の障害者就労支援センターや相談支援事業所などにも相談してみましょう。
これらの機関は、地域の事業所の特徴や評判をよく把握しています。
また、事業所のホームページやパンフレットだけでなく、第三者評価の結果なども参考にするとよいでしょう。
第三者評価は、公平な立場から事業所のサービス品質を評価するものです。
情報収集の際は、以下のような点に着目してみましょう。
- 支援プログラムの内容と特徴
- スタッフの専門性と経験
- 就職実績と定着率
- 利用者の満足度
- 企業との連携状況
これらの情報を総合的に判断することで、自分に合った事業所を見つける可能性が高まります。
ポイント②見学・体験利用の活用
情報収集だけでは、事業所の雰囲気や実際の支援内容を十分に把握することは難しいでしょう。
そこで重要になるのが、見学や体験利用の活用です。
多くの事業所では、見学や短期間の体験利用を受け付けています。
これらを積極的に活用することで、以下のような点を直接確認することができます。
- 施設の雰囲気や設備
- スタッフの対応や専門性
- 実際のプログラム内容
- 他の利用者の様子
見学や体験利用の際は、単に説明を聞くだけでなく、積極的に質問をすることが大切です。
自分の希望や不安に思っていることを率直に伝え、それに対する事業所の対応を見極めましょう。
ポイント③スタッフとのコミュニケーション
就労移行支援の成功の鍵を握るのは、支援スタッフとの良好な関係です。
そのため、事業所選びの段階から、スタッフとのコミュニケーションを重視することが重要です。
- スタッフの話し方や態度は丁寧で親切か
- 利用者の話しをしっかりと聞いているか
- 専門的な知識に基づいた適切なアドバイスができるか
- 利用者の個別性を尊重しているか
また、可能であれば複数のスタッフと話をする機会を持つことをおすすめします。
事業所全体の雰囲気や支援の方針を把握する上で役立ちます。
ポイント④支援プログラムの確認
就労移行支援事業所によって、提供される支援プログラムは大きく異なります。
自分のニーズや目標に合ったプログラムを提供している事業所を選ぶことが重要です。
- プログラムの具体的な内容と流れ
- 個別支援計画のプロセス
- スキルアップのための訓練内容
- 職場実習の機会と内容
- 就職活動支援の方法
また、プログラムの柔軟性も重要なポイントです。
利用者の状況や進捗に応じて、プログラムを調整できる事業所を選ぶことで、より効果的な支援を受けられる可能性が高まります。
ポイント⑤就職実績の確認
就労移行支援事業所の質を判断する上で、就職実績は重要な指標の一つです。
ただし、単純な就職率だけでなく、以下のような点も確認することが大切です。
- 就職先の業種や職種の多様性
- 正社員やパート・アルバイトなどの雇用形態の内訳
- 離職後の定着率
- 過去の利用者の声や体験談
これらの情報を総合的に判断することで、事業所の支援の質や、自分に合った支援が受けられる可能性を評価することができます。
就労移行支援を有効活用するポイント


就労移行支援をただ利用するだけでなく、有効活用することが重要です。
どのようにすれば有効活用ができるのかをご紹介していきます。
ポイント①自己理解を深める
就労移行支援を効果的に活用するためには、まず自己理解を深めることが重要です。
自分の強みや弱み、興味関心、働く上での制限などを明確にすることで、より適切な支援を受けられるようになります。
事業所のスタッフと協力しながら、以下のような点について自己分析をしてみましょう。
- 自分の得意な事、苦手な事
- 興味のある仕事や分野
- 障害特性と仕事との関係
- 働く上での配慮が必要な点
自己理解が深まることで、より具体的な目標設定や、効果的な支援プランの作成が可能になります。
ポイント②目標設定の重要性
就労移行支援を利用する際は、明確な目標を持つことが大切です。
「就職すること」だけでなく、より具体的な目標を設定しましょう。
- 希望する業界や職種
- 目指す雇用形態(正社員、パート・アルバイトなど)
- 獲得したいスキルや資格
- 就労に向けての課題とその克服
これらの目標を支援スタッフと共有し、定期的に見直すことで、より効果的な支援を受けることができます。
ポイント③積極的な取り組み姿勢
就労移行支援の成果を最大化するためには、利用者自身の積極的な取り組み姿勢が不可欠です。
与えられたプログラムをこなすだけでなく、以下のような姿勢で臨むことが重要です。
- 自ら情報を収集し、質問を行なう
- 新しいことにチャレンジする勇気を持つ
- 失敗を恐れずに、失敗から学ぶ
- 他の利用者との交流を大切にする
- 家庭でも学習や訓練を継続する
積極的な姿勢は、スタッフのモチベーションも高め、より質の高い支援につながります。
ポイント④支援者との信頼関係構築
就労移行支援の成功には、支援スタッフとの良好な関係が欠かせません。
以下のような点に注意して、信頼関係を築いていきましょう。
- 自分の思いや不安を率直に伝える
- スタッフのアドバイスに耳を傾ける
- 約束や決まりを守る
- 感謝の気持ちを表現する
- 定期的なコミュニケーションを心がける
支援者との信頼関係が構築されることで、より個別性の高い、効果的な支援を受けることができます。
まとめ


就労移行支援は、確かに「闇だ!」と言われるような問題点を抱えていますが、同時に多くの障害者の方々の就労を実現させてきた重要な制度でもあります。
制度の光と影を正しく理解し、適切に利用することが重要です。
就労移行支援を利用する際は、十分な情報収集と慎重な事業所選びが不可欠です。
また、利用者自身の積極的な姿勢と、支援者との良好な関係構築も成功の鍵となります。
就労移行支援は、決して完璧な制度ではありませんが、適切に利用することで、障害者の方々の就労と社会参加を大きく後押しする可能性を秘めています。
この制度を上手に活用し、一人でも多くの方が希望する就労を実現できることを願っています。
よくある質問(FAQ)


ここでは就労移行支援に関してよくあるご質問をご紹介します。
- 就労移行支援の利用期間は延長できますか?
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原則として利用期間は2年間ですが、市町村が認めた場合は最大1年間の延長が可能です。
- 就労移行支援の利用中に就職が決まった場合はどうなりますか?
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就職が決まった場合でも、一定期間は定着支援を受けることができます。詳細は利用している事業所に確認してください。
- 就労移行支援と就労継続支援A型・B型の違いは何ですか?
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就労移行支援は一般就労を目指す方向けの2年間の訓練プログラムです。一方、就労継続支援A型・B型は、福祉的就労の場を提供するサービスで、利用期間の制限はありません。
- 就労移行支援の利用にはお金がかかりますか?
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原則として利用者の1割負担が必要です。ただし、所得に応じて負担上限額が設定されており、低所得者には減免制度があります。
- 就労移行支援を利用しても就職できなかった場合はどうなりますか?
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就職できなかった場合でも、習得したスキルや経験を活かして、他の福祉サービス(就労継続支援など)の利用を検討することができます。